親が住んでいた戸建やマンションなどの不動産を相続した子が、その家を売るケースは少なくない。そのときの税金はどうなるのだろうか。
★親の家を相続して売るときにかかる税金は?
子が住んでいた住宅なら各種の特例が受けられる。
相続によって取得した家を売る場合、子がその家を自宅(自身が保有する住宅)として居住していたか、居住していなかったかによって税金に違いが出る。どちらの場合も売却によって発生した譲渡所得に対して所得税・復興特別所得税と住民税が課税されるが、子が自宅として居住していた場合は「居住用財産」とみなされ、以下の特例の対象となる。
●3000万円の特別控除の特例
●10年超所有の場合の軽減税率の特例
●特定の居住用財産の買換え特例
●マイホームの買換えの場合の譲渡損失の繰越控除
●特定居住用財産の譲渡損失の繰越控除
一方、子がその住宅に居住していなかった場合は上記の特例は受けられず、原則として譲渡所得への所得税・復興特別所得税と住民税がそのまま課税される。
なお、親の自宅だった空き家を相続した場合、一定の要件を満たすと譲渡所得から3000万円を控除できる特例がある。
★取得費は親が買ったときの代金などから計算
不動産を売ったときの譲渡所得は、土地や、マンションや戸建などの建物を売った金額からもともとの取得費と、譲渡費用を差し引いて計算する。親から相続した住宅を売る場合は、取得費については親がその住宅を買い入れたときの購入代金や購入手数料などから計算することになる。
住宅を相続したときに子が支払った登記費用や不動産取得税などがあれば、その金額も取得費に含まれる。なお、取得費がわからないときなどには、売った金額の5%を取得費とすることができるが、この場合には子が支払った登記費用などは取得費に含めることができない。
★住宅の所有期間は親が取得した日からカウントする
譲渡所得への課税は売った不動産の所有期間が5年以内なら短期譲渡、5年超なら長期譲渡となり、それぞれ税率が異なる。
親から相続した住宅の取得時期は、親がその住宅を取得した時期をそのまま引き継ぐことができる。つまり、親が住宅を取得した日から、相続した子が売却した年の1月1日までの所有期間で長期か短期かを判定します。